皆様こんにちは。

お客様から、ちょっとビックリする話を聞いたので

記事にしたいと思います。

難しい話もありますが、最後まで読んでいただけると幸いです。

その方は当店の顧客様ではないのですが、縁あって

ご来店されました。

とても着物好きの方らしく、話も盛り上がって楽しい時間を

過ごさせていただきました。

話の中で

「大島紬は持っているけど、シワになりやすいから、あまり着ないの」と

おっしゃいました。

私は

「えっ？大島ってシワになりにくいし、扱いが楽だし、軽いから

一番気軽に着れる着物の一つじゃないですか？」

とお聞きすると

「大島は紬だから堅くてゴワゴワしてるんじゃないの？」

と逆に聞かれるので、写真の大島紬（当店女将の私物）をお見せして

「好きに触って、着ていただいていいですよ。

なんならクシャクシャに丸めて、わざとシワにしても大丈夫です。」

と言って触ってもらうと

「私の持っている大島は、こんなんじゃない。

こんなに柔らかい生地じゃない」とおっしゃいました。

確かに写真の大島紬は、一度洗い張りをして仕立て直しているので

新品よりは柔らかくなっています。

しかし、新品の大島紬でも、ゴワついてすぐシワになる様なことはありません。

これくらい雑に扱っても、シワになることはありません。

実物を見ていないので、確かなことは言えませんが

湯通しが下手なのか？　湯のしをしたのか？

湯通し自体をしていなのか？　のどれかだと思います。

【湯通し】反物を、お湯につけて糊を落とす作業。

【湯のし】反物に蒸気を当てて、生地を柔らかくし、均一に整える作業。

大島紬だけでなく、紬の着物は湯通し必須です。

（商品の段階で湯通し済みの物もあります。）

ちなみに、紬の着物でも湯のししかしない呉服屋もあります。

私たちからすれば考えられませんが、現実にそういう店を知っています。

コスト面では湯のしの方が安いのが理由かもしれませんが、

糸に糊がかかっている紬は湯のしでは柔らかくなりませんし、

熱をかけるので逆に硬くなってしまう紬（特に結城紬）もあります。

この様に、同じ大島紬でも、依頼する店によって仕上がりが

違う場合があるのです。

反物の加工（湯通しや湯のし、撥水加工等）の考え方でも仕上がりは

違ってきますし、どんな裏地を合わせるかによっても違ってきます。

裏地へのこだわり

で書いた様に、本来は表地に合った裏地があるのです。

しかし、現在ではそこまで考えて着物を扱っている店も少なくなりました。

あまり他店様を批判する様な内容は書きたくないのですが、

せっかく着物を誂えるなら、その着物の本当の魅力を知って

いただきたと思います。

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